ever since that day

目の前の湾に、いくつものヨットが潮の引いた浅瀬に傾いていた。遠くハーバーブリッジのそのずっと先には、シティの高層ビルが見えていた。
そこから5分とかからない所に暮らしながら、私はよくこの小さな湾の広場に来ては1人海を眺めていた。―1995年のオークランド。

私は23年振りにこの小さな湾に1人やって来た。
「次にこの鍵を外す時、自分は幸せになっているんだ」と誓ってかけたあの鍵は、まだそこにあるだろうか―。


シティへ戻るフェリーがハーバーブリッジの下をくぐり抜ける時、私はこれまで23年間持っていたあの鍵の片方を泡めく海に捨てた。
心に穴が空いた。